『プリキュアと考える哲学<プリ哲>』 ~人生の長さ編~
『プリキュアと考える哲学<プリ哲>』
~人生の長さ編~
私!野乃はな!中学二年生!今日はお店がお休みだから、ルールーと一緒にえみるのお家へ遊びに来たよ!
はな「はー...」
えみる「はな先輩!いくら外が暑いからって家でだらだらしていると、頭もだらだらになって《野乃だら》になってしまうのです!」
ルールー「えみる、だらだらしていても名前が変わることはありません」
えみる「そ、そんなことは分かっているのです。ちょっとした例えなのです!」
ルールー「そういえば、はなはここ1週間でため息をつく回数が先月より40%増加しています。何かあったのですか?」
えみる「さすがルールー、...細かいのです」
はな「うーん、実は最近不安な気持ちになることが多くてさぁ...私、イケてるお姉さんに近づけてるのかなぁ」
えみる「はな先輩が弱音を...!!らしくないのです!アンビリーバブルなのです!」
ルールー「はな、不安な気持ちとはどういうことですか?」
はな「今日だってさ、さあやはオーディション、ほまれは大会でなりたい自分へ近づけてるのに...それに比べて私は前へ進めてないなぁ〰️って。皆より生活が充実していないような...って色々考えちゃうんだよ~~!」
えみる「なるほど...はな先輩にも悩みはあるのですね...」
ルールー「充実..生活..悩み...........私のデータベースにはなの悩みを解決するヒントがあります」
えみる「データベース!?データベースがあるのですかルールー!?」
ルールー「はい、クライアス社がインプットしたデータベースの中にこの世界の思想、哲学があります。人々の思考回路を理解するため、この時代にまで継がれた哲学書は全て把握しています」
えみる「て、てつがくですか...ルールーはなんでも知っているのです。すごいのです」
はな「なんだか難しそうだなぁ...私に分かるかな~?」
ルールー「これから話すのは『人生の長さ』についてです。はなは《ルキウス・アンエナウス・セネカ》という人物を知っていますか?」
はな「ウキウキ・アナウンス・せんか???」
えみる「ぜんぜん違うのです!」
ルールー「このセネカという人物は紀元前に生まれたとされているほど昔の人物です。人生とは本来、長い、短いということはなく、自分自身によって決まると言っています」
はな「う、うぅん??」
えみる「ルールー、具体的にはどういうことなのですか?」
ルールー「まず、時間というものは人によって変わることのない共通性のあるものです。しかし、楽しい1時間と退屈な1時間では感じ方が変わる経験をしたことはありませんか?」
はな「むむっ!たしかに、数時間ビューティーハリーにいるより、50分授業を受けてる方が時間が進むのが遅いような....皆といると楽しくて時間が過ぎるのが早いような気がする!」
えみる「私も、ギターを弾いてる時間は他の楽器よりあっという間なのです!それに...その...」モジモジ
ルールー・はな「?」
えみる「ル、ルールーと一緒にいる時間は一番あっという間なのです..../////」チラッ
ルールー「えみる....」
えみる「...」ウワメヅカイチラッ
ルールー「///////」プシューーーー
はな(熱っ!ルールーから湯気が!!熱い!!ほんとの湯気がプシューーーしてる!たしかにこれなら時間が過ぎるのも早いね....)
えみる「ルールーが排熱してるのです!!はな先輩もふーふーして冷ますのです!!」フーフー
はな「それでいいの!?」
えみる「ルールーが前にこうすれば直ると言っていたのです!」フーフー
はな「前にもあったんだ....」フー
えみる「前もこの部屋で....はい....////」
はな(何があったの....!?)
ルールー「体内温度調整完了、えみる、もう大丈夫です」
えみる「良かったのです!それにしてもルールーはすぐ熱くなってしまうのです。前だってーーー」
ルールー「えみる、その話は....////」
えみる「あ...そ、そうですね/////」
はな(あ、あやしい....)
ルールー「と、まあ....このように、楽しい時間は早く感じるわけです。哲学者セネカは、人生は時間の使い方次第で長くも短くもなり、そこに気づくことが有効活用への第一歩だと言っています」
はな「ふむふむ~!というと、何が楽しいことか自分で分かることがまず大事ってこと?」
ルールー「そうですね、セネカは『より偉大な仕事』に向かうべきだと伝えていたとされています。毎日のやることに忙殺されていると、本当にその人が成すべきことは達成できない、と」
えみる「なんだか抽象的なのです....セネカさん自身は何していたのですか?」
ルールー「セネカは政治と文芸の両分野で活躍し、第5代ローマ皇帝ネロの幼少期の家庭教師を務めたとされています。セネカは『ストア学派』の哲学者で、ストアとはストイックの語源といわれる言葉です。その名の通り、騒がず、静かに、禁欲的な学派とされていて、実生活より真理そのものを見つめることを重視していました」
はな「ストイックな考え....真理....大人の落ち着いたお姉さんってかんじ?」
えみる「静かに、ほんとうのやるべきことを....さあやさんのお芝居、ほまれさんのスケートはお二人のやるべきことなのでしょうか」
ルールー「ここからは、私自身の考えですが....セネカのいう『偉大な仕事』とは、他者との関係の中で見つけていくものではないかと思います」
えみる「他の人と比べて自分をみるのですか?」
ルールー「比べるというと優劣のように感じますが、自分にしかできないこと、自身の心踊ることを見つけて取り組むことが、『偉大な仕事』として確立されると私は思います」
えみる「たしかに、お芝居をするさあやさんやスケートをするほまれさんは、なんというか....唯一無二!って感じなのです!オンリーワンなのです!はな先輩も、ってはな先輩!?」
はな「うーーー....難しくてよく分かんないよぉお」
えみる「はな先輩には少し難しかったのです」
ルールー「そのようですね」
はな「めちょっく!?」
ルールー「はなにも、心踊るようなことがあるはずです。それを続けていれば、生活が充実して人生が短いと嘆くことだってない、という話です」
はな「そっかあ!それなら私は、皆を応援することが一番かな!!」
えみる「はな先輩はやっぱりそうなのです」
ルールー「はなは応援が心から好きだと自分で分かっているので、セネカのいう第一歩をもう踏んでいます」
はな「それを積み重ねれば、もっともーっと毎日が充実するんだね!フレフレさあや!フレフレほまれ!フレフレみんな!!」
えみる「やっといつものはな先輩に戻ったのです!」
ルールー「周りをたくさんの笑顔で包む..はなだからこそできることです」
はな「私だからできること、分かって良かった!ルールー、ありがとう!!」
ルールー「私の知識が役に立って良かったです」
はな「ところでーーー」
ルールー・えみる「はい?」
はな「二人には心が熱くなるものって...」
えみる「も!ち!ろ!ん!!私とルールーでできることは、音楽なのですっ!!ロックなのです!!」
ルールー「そうですね、この前も時間を忘れてーーー」
えみる「ルールー、だからその話は....//////」
ルールー「あ....//////」
えみルー「//////////////」
はな「二人の充実って...一体何なの~!!??」
おわり
参考
「読まずに死ねない哲学名著50冊」 平原卓著 フォレスト出版