『プリキュアと考える「万能主義?科学と宗教!」』

プリキュアと考える「万能主義?科学と宗教!」』

Go!プリンセスプリキュア

 


※キャラ崩壊注意

これは、プリンセスプリキュアが最後の戦いを終えた後、初めて迎える夏のおはなし....

 

 

 

私、春野はるか!今日はきららちゃんと一緒にみなみさんの家にお泊まりに来たよ!

 

食後・みなみの部屋
きらら「いやぁ~、やっぱりみなみんの家って広いよね~、自分の部屋の大きさ、寮の部屋の10倍はあるんじゃない?」

みなみ「きらら、さすがにそれは大きすぎるわよ」

はるか「それにしても!またお泊まり会ができて嬉しいです!!みなみなさんのお家にお泊まりだなんて....なんだか緊張しちゃいます...」

みなみ「緊張することないわよ。私は実家に帰ってきた時でも、この部屋にはるかがいることを想像することで会えない時を耐えているわ。だから今ここに、本当にはるかがいてくれることが嬉しいの。ゆいも絵のコンテストが締め切り間近でなければ来られたのに....残念ね」

きらら「え、今さらっと重くなかった?」

はるか「みなみさん....私も嬉しいです!」

みなみ「はるか....!」

きらら(うわみなみんの目マジじゃん....こわ...)

みなみ「....はるか....!」

きらら「おーテレビあるじゃんー何かやってないかなー」テレビポチ-

 

『夏の大特番!幽霊は科学の力で解明できるか!?徹底検証スペシャル!!』

 

きらら「おー!みなみん、幽霊だって!ほんもの出てくるんじゃな~い?」コンバンハー!イチジョウランコデース!

はるか「きららちゃん、みなみさんに幽霊のはなしは....」エ?ハイキョノビョウイン?ヒトリデ?

みなみ「........」ギャー!!コンジョォォォオオオオ!!!!ヤッテヤルワブチッ

きらら(む、無言でテレビ消した...)

はるか「科学の力で解明かぁ~、科学の進歩ってすごいなぁ」

みなみ「ここのところAIも発展して生活に浸透してきているし、たしかに技術は進化しているわね」

はるか「科学ってすごいなぁ~!なんでも分かっちゃうんですね!」

きらら「みなみんの苦手な幽霊も、そのうち科学で説明できるんじゃない?今の時代、科学的に説明できることばっかなんだし」

みなみ「...二人とも、その考えは少し危ないわ」

はるか「え?どういうことですか?」

きらら「科学でなんでも説明できることが危ないっていうの?」

みなみ「なんでも、と言い切ってしまうことね。その話をするなら、まずこの質問をしましょう。二人は、『化物』の存在を信じたことがあるかしら?」

はるか「化物、ですか?それってドラキュラとか座敷わらしですか?」

きらら「ちっちゃい頃は信じてたというか、怖かったよね~。今はそんなのいないって思うから怖くないけど」
みなみ「昔の人は、この化物をつかって色んな不可思議現象を説明していたの。たとえば、雷が落ちるのは悪ふざけをした鬼の仕業だと考えられていたわ」

きらら「でも今なら放電って説明できるよね?」

みなみ「たしかに簡単に説明するならそういうことになるわ。でも、電気の分離や蓄積の方法や、その放電の細かい仕組みは未だ解明されていないのよ」

はるか「そうだったんですか....現代でも、まだ説明できないことは身近にもたくさんあるんですね」

みなみ「現代は、原子や電子の存在を仮定することで物理現象を説明しているわ。テレビや雷は『見る』ことができるけど、原子や電子を『見る』人はいないことから、これらも実在ではなくて一種の化物だと言えるわ」

きらら「うーん、中々飛躍しているような....」

みなみ「たしかに、この考え方には明らかにおかしいと思う箇所があるのは確かだわ。でも、現象を説明するのに何かを仮定して話を進める点では共通していると言えるわね」

はるか「昔の人たちが鬼を雷の原因としたように、今の時代は鬼の代わりに原子や電子を原因にしてるってことですか?」

みなみ「そういうことね。雷が一方では化物に、一方では科学へと進んでいったという見方よ」

きらら「それが、科学でなんでもできる考えが危ないってことにつながるの?」

みなみ「今の時代、科学の進歩とともにその真価が誤解されて、なんでも説明できると買い被られることがあるわ。万能で絶対の真理だと錯覚することで、様々な弊害にも繋がってしまうの。例としては、東日本大震災福島第一原発事故も挙げられるわね」

きらら「なんでもコントロールできると思った結果、ってことか.....」

はるか「みなみさん、その弊害っていうのは他にもあるんですか?」

みなみ「さっき言った『化物』への興味が薄れてきていることね。この化物、つまり、未知のものや不思議だと思うことへの興味が薄れるというのは、自然界の不思議に対する興味が薄れるのと同じだわ。二人も昔、おとぎ話を聞いてゾクっとしたことがあるかもしれないけど、この感覚も失われていくと考えられるわね」

はるか「ゾクっとする感覚がなくなっちゃうのは、それはそれで寂しい気もするなぁ...」

みなみ「大丈夫、はるかがゾクっとするよう私も協力するわ」ニコッ

きらら(うわ怖....)

みなみ「私も元々、科学万能の考えに違和感を感じていたのだけれど、この前読んだ本にこの考え方が書いてあったの」

はるか「それってどんな本なんですか?」

みなみ「『化物の進化』という戦前に出版された本よ」

きらら「戦前!?すごいね、今の時代にも通じることが書いてあるなんて」

みなみ「この時代に読むからこそ、新鮮に感じられることもあるわね」

はるか「科学を信じすぎちゃいけないのは、今も昔も変わらないんですね!」

きらら「でもさ、それだと『科学なんて意味ないぞー!』って人たちが出てきそうだよねぇ~、オカルトというか」
みなみ「さすがきらら、鋭いわね」

きらら「え、そうなの?」

みなみ「これまで科学の真価を錯覚することの話をしていたけれど、これは宗教的な考えとも共通点があるのよ」
はるか「宗教ですか?あんまり共通してなさそう.....?」

みなみ「簡単な例だと、何でも神様のせいにすることね。これについては、ノーベル物理学賞受賞の益川博士が面白いことを言っていているわ。雪の結晶がどれも異なる形なのが不思議だ、という意見に対して、神が作ったと答えた人がいるとしましょう。すると益川博士は、『その答えを神様に求めにゃいかんほどあなたの理性は単純なのですか?それぐらいの答えなら、いくらでも考えられますよ』と答えたの」

きらら「なんでもかんでも神のせいにするな!ってことか」

みなみ「分からないことを都合よく神のせいにするのは、少し短絡的じゃないか?という考えね。これは学習性無力感という言葉でも表されていて、原因をすぐ神などのせいにすることで、真実に行き着く機会を逃して、その追求の努力をやめてしまうことを指すわ」

きらら「たしかに、それはちょっと単純だねー」

はるか「でも私は宗教ってあんまりよく分からないから、関係ないかも?」

みなみ「はるか、この『神』の部分を別のものに置き換えれば、宗教以外にも話は広がるのよ」

きらら「ははーん、たとえば『みなみんが言ってたからこれは正しい!』ってはるはるなら思うかもね~?」

はるか「えー!それもだめなのきららちゃん!?でも...これまでの話を聞いていたら、そういうことですよね...」

みなみ「はるか、私ははるかに自分の意見を言うことはあるわ、でも嘘は言わないの、安心してちょうだい。はるか、信じてほしいわ、はるか、疑われるなんて...私...はるか...」

きらら(...重い..重いよみなみん....句読点のようにはるはるの名前を挟むな...)

はるか「こうやって色々聞いてると、何を信じても良いのかだんだん分からなくなってきちゃうな~~」

みなみ「はるか、大事なのは『適切な距離感』と『なるべく偏見をなくして冷静に世界を視ること』よ。何かひとつに傾きすぎては危険だわ」

はるか「うーーん、私にできるかなぁ」

きらら「頭では分かっててもさ、実際にやろうとしたら結構難しそうだよね」

みなみ「そのために必要なことは、今私たちが学んでいることじゃないかしら?」

はるか「今学んでいること.........あっ!もしかして、学校の勉強ですか!?」

みなみ「そうよはるか、よく気がついたわね。冷静に世界を見通すための教養、それこそ今私たちが学んでいる理科や数学、社会科があるし、意味を読解する現代文といった国語も大切ね。こういった目の前のことから地道に考えていくことが大切だと私は思うわ」

きらら「大事なことって、案外身近なことだったりするんだね」

 

 

 

 

はるか「でもでも!やっぱりそれを説明できるみなみさんはすごいです!!」

きらら「たしかに、この手の話はみなみん得意だよね~」

みなみ「ありがとう、でも私だって冷静になれなかったり、距離感を誤ってしまいそうになるのよ」

はるか「え!?みなみさんにもそんなことが!?」

みなみ「そうよ、私にとってとても大切な人...その人を想えば身体が熱くなって、もっともっと近づきたいけれどどうすればいいか分からなくなって...夜も眠れないの。眠っても夢に出てくるわ///」

きらら(身体熱くなってたんだ...てかみなみん汗ばむな)

はるか「すてきです!その人もきっと、みなみさんのこと大好きですよ!」

みなみ「そ、そうかしら...!そうよね、きっとそうよね。はるか、ありがとう。今日は同じベッドで寝ましょう、ええそれがいいわ。楽しみね、頭が少しくらくらしてきたわ」ハナヂダラー

きらら(それは鼻血のせいで貧血だからだよ...みなみん...)

はるか「あ、みなみさん鼻血が...!今ティッシュちぎって渡しますね!」

みなみ「ふふ...同じベッドで...手を繋いで...同じ夢を見るのよ...そして私たちは......」ハナヂドゥバー

はるか「わー!!!みなみさーーん!??」

きらら(冷静に視るって...澄み渡る海のプリンセスって...)

みなみ「二人で...リィス...トル....ビヨン..」

はるか「みなみさーーん!!!!!」

きらら「舞っていった...百合の花と共に...」

 


きらら「みなみん家にお泊まりも考えものだね...」

はるか「きららちゃん手伝ってーーっ!!」

みなみ「...//....//.../////」

 


おわり

 

 

 

 

参考

「読まずに死ねない哲学名著50冊」 平原卓著 フォレスト出版

「京大現代文で読解力を鍛える」  出口汪著 大和書房

susumu-akashi.com