『プリキュアと考える「万能主義?科学と宗教!」』
『プリキュアと考える「万能主義?科学と宗教!」』
※キャラ崩壊注意
これは、プリンセスプリキュアが最後の戦いを終えた後、初めて迎える夏のおはなし....
私、春野はるか!今日はきららちゃんと一緒にみなみさんの家にお泊まりに来たよ!
食後・みなみの部屋
きらら「いやぁ~、やっぱりみなみんの家って広いよね~、自分の部屋の大きさ、寮の部屋の10倍はあるんじゃない?」
みなみ「きらら、さすがにそれは大きすぎるわよ」
はるか「それにしても!またお泊まり会ができて嬉しいです!!みなみなさんのお家にお泊まりだなんて....なんだか緊張しちゃいます...」
みなみ「緊張することないわよ。私は実家に帰ってきた時でも、この部屋にはるかがいることを想像することで会えない時を耐えているわ。だから今ここに、本当にはるかがいてくれることが嬉しいの。ゆいも絵のコンテストが締め切り間近でなければ来られたのに....残念ね」
きらら「え、今さらっと重くなかった?」
はるか「みなみさん....私も嬉しいです!」
みなみ「はるか....!」
きらら(うわみなみんの目マジじゃん....こわ...)
みなみ「....はるか....!」
きらら「おーテレビあるじゃんー何かやってないかなー」テレビポチ-
『夏の大特番!幽霊は科学の力で解明できるか!?徹底検証スペシャル!!』
きらら「おー!みなみん、幽霊だって!ほんもの出てくるんじゃな~い?」コンバンハー!イチジョウランコデース!
はるか「きららちゃん、みなみさんに幽霊のはなしは....」エ?ハイキョノビョウイン?ヒトリデ?
みなみ「........」ギャー!!コンジョォォォオオオオ!!!!ヤッテヤルワブチッ
きらら(む、無言でテレビ消した...)
はるか「科学の力で解明かぁ~、科学の進歩ってすごいなぁ」
みなみ「ここのところAIも発展して生活に浸透してきているし、たしかに技術は進化しているわね」
はるか「科学ってすごいなぁ~!なんでも分かっちゃうんですね!」
きらら「みなみんの苦手な幽霊も、そのうち科学で説明できるんじゃない?今の時代、科学的に説明できることばっかなんだし」
みなみ「...二人とも、その考えは少し危ないわ」
はるか「え?どういうことですか?」
きらら「科学でなんでも説明できることが危ないっていうの?」
みなみ「なんでも、と言い切ってしまうことね。その話をするなら、まずこの質問をしましょう。二人は、『化物』の存在を信じたことがあるかしら?」
はるか「化物、ですか?それってドラキュラとか座敷わらしですか?」
きらら「ちっちゃい頃は信じてたというか、怖かったよね~。今はそんなのいないって思うから怖くないけど」
みなみ「昔の人は、この化物をつかって色んな不可思議現象を説明していたの。たとえば、雷が落ちるのは悪ふざけをした鬼の仕業だと考えられていたわ」
きらら「でも今なら放電って説明できるよね?」
みなみ「たしかに簡単に説明するならそういうことになるわ。でも、電気の分離や蓄積の方法や、その放電の細かい仕組みは未だ解明されていないのよ」
はるか「そうだったんですか....現代でも、まだ説明できないことは身近にもたくさんあるんですね」
みなみ「現代は、原子や電子の存在を仮定することで物理現象を説明しているわ。テレビや雷は『見る』ことができるけど、原子や電子を『見る』人はいないことから、これらも実在ではなくて一種の化物だと言えるわ」
きらら「うーん、中々飛躍しているような....」
みなみ「たしかに、この考え方には明らかにおかしいと思う箇所があるのは確かだわ。でも、現象を説明するのに何かを仮定して話を進める点では共通していると言えるわね」
はるか「昔の人たちが鬼を雷の原因としたように、今の時代は鬼の代わりに原子や電子を原因にしてるってことですか?」
みなみ「そういうことね。雷が一方では化物に、一方では科学へと進んでいったという見方よ」
きらら「それが、科学でなんでもできる考えが危ないってことにつながるの?」
みなみ「今の時代、科学の進歩とともにその真価が誤解されて、なんでも説明できると買い被られることがあるわ。万能で絶対の真理だと錯覚することで、様々な弊害にも繋がってしまうの。例としては、東日本大震災や福島第一原発事故も挙げられるわね」
きらら「なんでもコントロールできると思った結果、ってことか.....」
はるか「みなみさん、その弊害っていうのは他にもあるんですか?」
みなみ「さっき言った『化物』への興味が薄れてきていることね。この化物、つまり、未知のものや不思議だと思うことへの興味が薄れるというのは、自然界の不思議に対する興味が薄れるのと同じだわ。二人も昔、おとぎ話を聞いてゾクっとしたことがあるかもしれないけど、この感覚も失われていくと考えられるわね」
はるか「ゾクっとする感覚がなくなっちゃうのは、それはそれで寂しい気もするなぁ...」
みなみ「大丈夫、はるかがゾクっとするよう私も協力するわ」ニコッ
きらら(うわ怖....)
みなみ「私も元々、科学万能の考えに違和感を感じていたのだけれど、この前読んだ本にこの考え方が書いてあったの」
はるか「それってどんな本なんですか?」
みなみ「『化物の進化』という戦前に出版された本よ」
きらら「戦前!?すごいね、今の時代にも通じることが書いてあるなんて」
みなみ「この時代に読むからこそ、新鮮に感じられることもあるわね」
はるか「科学を信じすぎちゃいけないのは、今も昔も変わらないんですね!」
きらら「でもさ、それだと『科学なんて意味ないぞー!』って人たちが出てきそうだよねぇ~、オカルトというか」
みなみ「さすがきらら、鋭いわね」
きらら「え、そうなの?」
みなみ「これまで科学の真価を錯覚することの話をしていたけれど、これは宗教的な考えとも共通点があるのよ」
はるか「宗教ですか?あんまり共通してなさそう.....?」
みなみ「簡単な例だと、何でも神様のせいにすることね。これについては、ノーベル物理学賞受賞の益川博士が面白いことを言っていているわ。雪の結晶がどれも異なる形なのが不思議だ、という意見に対して、神が作ったと答えた人がいるとしましょう。すると益川博士は、『その答えを神様に求めにゃいかんほどあなたの理性は単純なのですか?それぐらいの答えなら、いくらでも考えられますよ』と答えたの」
きらら「なんでもかんでも神のせいにするな!ってことか」
みなみ「分からないことを都合よく神のせいにするのは、少し短絡的じゃないか?という考えね。これは学習性無力感という言葉でも表されていて、原因をすぐ神などのせいにすることで、真実に行き着く機会を逃して、その追求の努力をやめてしまうことを指すわ」
きらら「たしかに、それはちょっと単純だねー」
はるか「でも私は宗教ってあんまりよく分からないから、関係ないかも?」
みなみ「はるか、この『神』の部分を別のものに置き換えれば、宗教以外にも話は広がるのよ」
きらら「ははーん、たとえば『みなみんが言ってたからこれは正しい!』ってはるはるなら思うかもね~?」
はるか「えー!それもだめなのきららちゃん!?でも...これまでの話を聞いていたら、そういうことですよね...」
みなみ「はるか、私ははるかに自分の意見を言うことはあるわ、でも嘘は言わないの、安心してちょうだい。はるか、信じてほしいわ、はるか、疑われるなんて...私...はるか...」
きらら(...重い..重いよみなみん....句読点のようにはるはるの名前を挟むな...)
はるか「こうやって色々聞いてると、何を信じても良いのかだんだん分からなくなってきちゃうな~~」
みなみ「はるか、大事なのは『適切な距離感』と『なるべく偏見をなくして冷静に世界を視ること』よ。何かひとつに傾きすぎては危険だわ」
はるか「うーーん、私にできるかなぁ」
きらら「頭では分かっててもさ、実際にやろうとしたら結構難しそうだよね」
みなみ「そのために必要なことは、今私たちが学んでいることじゃないかしら?」
はるか「今学んでいること.........あっ!もしかして、学校の勉強ですか!?」
みなみ「そうよはるか、よく気がついたわね。冷静に世界を見通すための教養、それこそ今私たちが学んでいる理科や数学、社会科があるし、意味を読解する現代文といった国語も大切ね。こういった目の前のことから地道に考えていくことが大切だと私は思うわ」
きらら「大事なことって、案外身近なことだったりするんだね」
はるか「でもでも!やっぱりそれを説明できるみなみさんはすごいです!!」
きらら「たしかに、この手の話はみなみん得意だよね~」
みなみ「ありがとう、でも私だって冷静になれなかったり、距離感を誤ってしまいそうになるのよ」
はるか「え!?みなみさんにもそんなことが!?」
みなみ「そうよ、私にとってとても大切な人...その人を想えば身体が熱くなって、もっともっと近づきたいけれどどうすればいいか分からなくなって...夜も眠れないの。眠っても夢に出てくるわ///」
きらら(身体熱くなってたんだ...てかみなみん汗ばむな)
はるか「すてきです!その人もきっと、みなみさんのこと大好きですよ!」
みなみ「そ、そうかしら...!そうよね、きっとそうよね。はるか、ありがとう。今日は同じベッドで寝ましょう、ええそれがいいわ。楽しみね、頭が少しくらくらしてきたわ」ハナヂダラー
きらら(それは鼻血のせいで貧血だからだよ...みなみん...)
はるか「あ、みなみさん鼻血が...!今ティッシュちぎって渡しますね!」
みなみ「ふふ...同じベッドで...手を繋いで...同じ夢を見るのよ...そして私たちは......」ハナヂドゥバー
はるか「わー!!!みなみさーーん!??」
きらら(冷静に視るって...澄み渡る海のプリンセスって...)
みなみ「二人で...リィス...トル....ビヨン..」
はるか「みなみさーーん!!!!!」
きらら「舞っていった...百合の花と共に...」
きらら「みなみん家にお泊まりも考えものだね...」
はるか「きららちゃん手伝ってーーっ!!」
みなみ「...//....//.../////」
おわり
参考
「読まずに死ねない哲学名著50冊」 平原卓著 フォレスト出版
「京大現代文で読解力を鍛える」 出口汪著 大和書房
『プリキュアと考える哲学<プリ哲>』 ~人生の長さ編~
『プリキュアと考える哲学<プリ哲>』
~人生の長さ編~
私!野乃はな!中学二年生!今日はお店がお休みだから、ルールーと一緒にえみるのお家へ遊びに来たよ!
はな「はー...」
えみる「はな先輩!いくら外が暑いからって家でだらだらしていると、頭もだらだらになって《野乃だら》になってしまうのです!」
ルールー「えみる、だらだらしていても名前が変わることはありません」
えみる「そ、そんなことは分かっているのです。ちょっとした例えなのです!」
ルールー「そういえば、はなはここ1週間でため息をつく回数が先月より40%増加しています。何かあったのですか?」
えみる「さすがルールー、...細かいのです」
はな「うーん、実は最近不安な気持ちになることが多くてさぁ...私、イケてるお姉さんに近づけてるのかなぁ」
えみる「はな先輩が弱音を...!!らしくないのです!アンビリーバブルなのです!」
ルールー「はな、不安な気持ちとはどういうことですか?」
はな「今日だってさ、さあやはオーディション、ほまれは大会でなりたい自分へ近づけてるのに...それに比べて私は前へ進めてないなぁ〰️って。皆より生活が充実していないような...って色々考えちゃうんだよ~~!」
えみる「なるほど...はな先輩にも悩みはあるのですね...」
ルールー「充実..生活..悩み...........私のデータベースにはなの悩みを解決するヒントがあります」
えみる「データベース!?データベースがあるのですかルールー!?」
ルールー「はい、クライアス社がインプットしたデータベースの中にこの世界の思想、哲学があります。人々の思考回路を理解するため、この時代にまで継がれた哲学書は全て把握しています」
えみる「て、てつがくですか...ルールーはなんでも知っているのです。すごいのです」
はな「なんだか難しそうだなぁ...私に分かるかな~?」
ルールー「これから話すのは『人生の長さ』についてです。はなは《ルキウス・アンエナウス・セネカ》という人物を知っていますか?」
はな「ウキウキ・アナウンス・せんか???」
えみる「ぜんぜん違うのです!」
ルールー「このセネカという人物は紀元前に生まれたとされているほど昔の人物です。人生とは本来、長い、短いということはなく、自分自身によって決まると言っています」
はな「う、うぅん??」
えみる「ルールー、具体的にはどういうことなのですか?」
ルールー「まず、時間というものは人によって変わることのない共通性のあるものです。しかし、楽しい1時間と退屈な1時間では感じ方が変わる経験をしたことはありませんか?」
はな「むむっ!たしかに、数時間ビューティーハリーにいるより、50分授業を受けてる方が時間が進むのが遅いような....皆といると楽しくて時間が過ぎるのが早いような気がする!」
えみる「私も、ギターを弾いてる時間は他の楽器よりあっという間なのです!それに...その...」モジモジ
ルールー・はな「?」
えみる「ル、ルールーと一緒にいる時間は一番あっという間なのです..../////」チラッ
ルールー「えみる....」
えみる「...」ウワメヅカイチラッ
ルールー「///////」プシューーーー
はな(熱っ!ルールーから湯気が!!熱い!!ほんとの湯気がプシューーーしてる!たしかにこれなら時間が過ぎるのも早いね....)
えみる「ルールーが排熱してるのです!!はな先輩もふーふーして冷ますのです!!」フーフー
はな「それでいいの!?」
えみる「ルールーが前にこうすれば直ると言っていたのです!」フーフー
はな「前にもあったんだ....」フー
えみる「前もこの部屋で....はい....////」
はな(何があったの....!?)
ルールー「体内温度調整完了、えみる、もう大丈夫です」
えみる「良かったのです!それにしてもルールーはすぐ熱くなってしまうのです。前だってーーー」
ルールー「えみる、その話は....////」
えみる「あ...そ、そうですね/////」
はな(あ、あやしい....)
ルールー「と、まあ....このように、楽しい時間は早く感じるわけです。哲学者セネカは、人生は時間の使い方次第で長くも短くもなり、そこに気づくことが有効活用への第一歩だと言っています」
はな「ふむふむ~!というと、何が楽しいことか自分で分かることがまず大事ってこと?」
ルールー「そうですね、セネカは『より偉大な仕事』に向かうべきだと伝えていたとされています。毎日のやることに忙殺されていると、本当にその人が成すべきことは達成できない、と」
えみる「なんだか抽象的なのです....セネカさん自身は何していたのですか?」
ルールー「セネカは政治と文芸の両分野で活躍し、第5代ローマ皇帝ネロの幼少期の家庭教師を務めたとされています。セネカは『ストア学派』の哲学者で、ストアとはストイックの語源といわれる言葉です。その名の通り、騒がず、静かに、禁欲的な学派とされていて、実生活より真理そのものを見つめることを重視していました」
はな「ストイックな考え....真理....大人の落ち着いたお姉さんってかんじ?」
えみる「静かに、ほんとうのやるべきことを....さあやさんのお芝居、ほまれさんのスケートはお二人のやるべきことなのでしょうか」
ルールー「ここからは、私自身の考えですが....セネカのいう『偉大な仕事』とは、他者との関係の中で見つけていくものではないかと思います」
えみる「他の人と比べて自分をみるのですか?」
ルールー「比べるというと優劣のように感じますが、自分にしかできないこと、自身の心踊ることを見つけて取り組むことが、『偉大な仕事』として確立されると私は思います」
えみる「たしかに、お芝居をするさあやさんやスケートをするほまれさんは、なんというか....唯一無二!って感じなのです!オンリーワンなのです!はな先輩も、ってはな先輩!?」
はな「うーーー....難しくてよく分かんないよぉお」
えみる「はな先輩には少し難しかったのです」
ルールー「そのようですね」
はな「めちょっく!?」
ルールー「はなにも、心踊るようなことがあるはずです。それを続けていれば、生活が充実して人生が短いと嘆くことだってない、という話です」
はな「そっかあ!それなら私は、皆を応援することが一番かな!!」
えみる「はな先輩はやっぱりそうなのです」
ルールー「はなは応援が心から好きだと自分で分かっているので、セネカのいう第一歩をもう踏んでいます」
はな「それを積み重ねれば、もっともーっと毎日が充実するんだね!フレフレさあや!フレフレほまれ!フレフレみんな!!」
えみる「やっといつものはな先輩に戻ったのです!」
ルールー「周りをたくさんの笑顔で包む..はなだからこそできることです」
はな「私だからできること、分かって良かった!ルールー、ありがとう!!」
ルールー「私の知識が役に立って良かったです」
はな「ところでーーー」
ルールー・えみる「はい?」
はな「二人には心が熱くなるものって...」
えみる「も!ち!ろ!ん!!私とルールーでできることは、音楽なのですっ!!ロックなのです!!」
ルールー「そうですね、この前も時間を忘れてーーー」
えみる「ルールー、だからその話は....//////」
ルールー「あ....//////」
えみルー「//////////////」
はな「二人の充実って...一体何なの~!!??」
おわり
参考
「読まずに死ねない哲学名著50冊」 平原卓著 フォレスト出版
『プリキュアと考える哲学<プリ哲>』 ~エロティシズム編~
『プリキュアと考える哲学<プリ哲>』
~エロティシズム編~
海藤家・みなみの部屋
きらら「いやー相変わらず立派な家だねー」
みなみ「ありがとう。今日はゆっくりしていくといいわ」
きらら「そうさせてもらうよー。最近仕事が忙しくってさぁ、ひっさしぶりの1日オフだよー」
きららは今日、久しぶりの休みを利用しみなみの家に遊びに来ています
みなみ「でも良いことじゃない、段々仕事が増えてきて」
きらら「そこは本当にね。忙しくなった分しっかりこなさなくちゃ」
みなみ「寮に帰るとすぐ眠くなってしまうんじゃないかしら?」
きらら「うん、まぁでも良いデザインが浮かびそうなときなんかは机で考え込んじゃうなー。結局そのまま寝ちゃうけどね....」
みなみ「きららはがんばり屋さんね。気分転換はできているの?確かに大事な時期だけど、体調管理が心配だわ」
きらら「うーん、学校ではるはるをいじるくらいかな?」
みなみ「そ、それはどうなのかしら...」
きらら「こないだもさー…」
_________________
~数日前・食堂~
きらら「だーれだ(低音ボイス)」
はるか「ぅわわぁ!」
きらら「だれだ(超低音)」
はるか「この細い指でぇ、こんなことするのはー...きららちゃん!!」
きらら「こんなこととはなんだー!!」髪ワシャワシャ―
はるか「わあぁごめんごめん!」
きらら「それー!!」コチョコチョー
はるか「き!きら!らちゃ!!あははははは!!!」
きらら「それー!!!まだまだー!!」
はるか「ひーー!!!!」
_________________
きらら「ってことが」
みなみ「きらら、あなたって人は...」(少し羨ましいわ....)
きらら「そーだなー、他には...」
みなみ(まだあるのね)
_________________
~1週間前・きららの部屋~
きらら「ねぇはるはる、ポッキーゲームしよ!」
はるか「えぇ!?ポッキーゲーム!?」
きらら「いいじゃん!はい、あーん」
はるか「え、え、」パク
きらら「ひふよー(いくよー)」
ポリポリ
はるか「ぅんん...!」
きらら(はるはる、こんな強く目つむっちゃって、顔も真っ赤じゃん....ちょっとからかうくらいのつもりだったのに...)
ポリポリ
はるか「んん...!」フルフル
きらら(小刻みに震えてる....なんかこっちが変な気分になっちゃうじゃん...)
はるか(きららちゃんの顔が近いのが分かる...なんだかすっごく恥ずかしい...!)
きらら(あと少し、あと少しでついちゃう...!!でも....)
はるか「ん...」カオマッカチラミ
きらら(あ、もう無理つけよう)
ポリポリポリ
はるか(え、きららちゃ、え!!?)
きらら(えええええええい!)
トワ「きらら、開けますわよ」ガチャ
きらら「おわああああああ!!??????」
ポキッ
はるか「きゃああ!!」
トワ「ど、どうしましたの!?」
きらら「いや!何でもない!!何でもないからトワっち!!」
はるか「きららちゃ~ん....ひどいよぉ」
きらら「わー!!はるはるごめんごめん!!」
トワ「どうしましたのきらら?」
きらら「何でもないって!」
はるか「きららちゃんひどいよぉ...」
きらら「ごめんごめん!!」
_________________
きらら「なんてことがあってさ」
みなみ「私だったら上手くやってたわ」(あんまりはるかを驚かせちゃだめよ)
きらら「みなみん、本音と建前が逆だよ....まぁでも、最近はるはるを驚かせたりするとなんだか変な気持ちになるんだよね」
みなみ「変な気持ち?」
きらら「そう。はるはるの反応が見たくてついからかっちゃうんだよね。あんまりするのも可哀想な気がするんだけど、どうしてもちょっかい出しちゃうんだよねー」
みなみ「きらら、それはあなたにとってのエロティシズムなのかもしれないわ」
きらら「エロ...みなみん何言ってるの!?」
みなみ「エロティシズムよ。フランスの哲学者、ジョルジュ・バタイユが論じた哲学ね」
きらら「哲学?いきなり難しい話をするねぇみなみん....でも、その哲学があたしにどう関係してるの?」
みなみ「エロティシズムの観点からみれば、きららがはるかをどう思っているか考えられるわ。そのためにはまず簡単に概念を説明するわね」
きらら「おぉー、それならちょっと興味あるかも!それじゃあお願いしまーす!」
みなみ「まず、私達の社会のなかで、労働を集約して組織化するためにはルールが必要よね。エロティシズムというのは、そういったルールを破る、いわゆる<侵犯>するときに生じるものと定義されるわ」
きらら「なんだか歯止めのきかなくなりそうな考え方だなー」
みなみ「確かにそうね。でもここでの侵犯とは、禁止そのものを無くすわけじゃなくて、禁止を一時的に解除する意味に近いわ。そして禁止の侵犯を達成すると、今の侵犯をさらに破るために、今度は逆に禁止を維持して侵犯をできないようにするの」
きらら「侵犯のあとには、侵犯できなくするのか。でもそれじゃあ意味なくない?」
みなみ「侵犯のあとの禁止の意味はあるの。禁止を侵犯した後、<禁止の侵犯>を侵犯することを楽しむ考え方よ。破ったルールそのものを破る、と言ったら分かりやすいかしら」
きらら「侵犯侵犯ややこしいなぁー。でもそれだと無限ループじゃん。侵犯、禁止、さらに侵犯、って」
みなみ「バタイユはこの侵犯こそがエロティシズムの本質だと言っているの。それは我々が喜びを感じるからだというのが彼の主張ね」
きらら「侵犯が喜びってのがよく分かんないな。そもそも抽象的だし、あたしはぱっと実感できることが思い浮かばないよ」
みなみ「そうね、バタイユの言う我々が、特に男性の視点というのが影響しているかもしれないわね。例えば、侵犯されるものとして女性の<美>があるわ。」
きらら「男の人から見た女の人の美しさってこと?」
みなみ「そうね、女性の魅力に応じて男性の侵犯の対象になるわ。バタイユは、美とはそれが隠しているものを予感させるような価値だと言っているの。美しいものは汚されるべきものだからこそ意味をもつ。我々が求めているのは美そのものではなく、美を侵犯することで味わわれるエロス的喜びだと」
きらら「なんか過激な主張だな....」
みなみ「さっきも話したけれど、やはりバタイユの主張となる部分は、エロティシズムの本質=禁止の侵犯、ね。美を欲する理由は美を予感させる価値を侵犯し、汚すことに価値があると。ここでさっきのきららの話を振り返ってみると、可哀想だからと後ろめたい気持ちもありながらつい手を出してしまうのよね?」
きらら「手を出すって言い方は生徒会長としてどうなの....たしかに、それで間違ってないかな」
みなみ「だとすればきららは、汚れを知らないはるかを程度はあれ侵犯することで喜びを感じていることになるわね」
きらら「みなみん、言い方がどんどん危なくなって...って言いたいけど、本質的には合ってるかもね。たしかに、純粋なはるはるをただ見ているのも良いけど、いたずらして照れたり驚いたりするはるはるを見てる方がドキドキするかな...」
みなみ「だとすると、きららにとってはるかはここでいう美としての存在。そのなかでエロス的喜びとは、侵犯することで得られるのね。バタイユの論では、男性視点となっているから、女性視点のエロス的喜びは明確に提言されていないの。きららの状況は、バタイユの提言と同じようね」
きらら「そうか!バタイユは男だから、必ずしもその論が女の人にも通じるとは限らないのか!」
みなみ「そういうことね、ふふ」
きらら「じゃあさ、みなみん的には喜びってなんなの?やっぱ侵犯すること?」
みなみ「そうね、私はどちらかというと侵犯される方ね」
きらら「侵犯される?はるはるにいたずらされたいってこと?」
みなみ「それもアリね。いえ、侵犯されるというより、巻き込まれる、といった方が良いかしら。はるかと接して、影響し合えること。はるかを侵犯し、そのはるかが私と接していくことは、お互いに影響すると思うの。私自身に美は見いださないけれど、はるかという美を、侵犯「する」といったこちらの動作だけでなくて、結果的に侵犯する、平衡状態になるような関係性に興ふ...喜びを感じるわ」
きらら「つっこみたいとこはたくさんあるけど!!とりあえず、みなみんは動作だけでなくて関係性も同じくらい喜びの対象ってことか。しかも、はるはるは美の対象ながら、たとえ平衡状態として汚れる部分があるとしても、大事なのはその果てに自分とはるはるが同一の存在になることなのか!」
みなみ「さすがきらら、理解が早いわ。やっぱりきららには私と似たものを感じるわ」
きらら「いやーーそんなことないよーー(みなみん....目が笑ってない)」
みなみ(そうね、私ははるかと同質でありたい...概念としても、物理的にも....)
きらら(みなみんからヤバいオーラを感じる....)「あ、あたしは侵犯で十分かなー!」
みなみ「きららにも、いずれ理解できる日がくるわよ。そう遠くないうちに」
きらら「みなみん、ほんとはるはるのことになると目がマジだよね...ねぇ、1つ気になったんだけど」
みなみ「何かしら?今週末ならはるかは私とバレエのレッスンだから空いてないわよ」
きらら「いや違うし!!いやその、聞くの怖いんだけど、みなみんははるはるを侵犯「する」時は何をしてるの....?」
_________________
ゆい「はるかちゃん、今週末はバレエのレッスンなの?」
はるか「うん!みなみさんが付きっきりで指導してくださるの!!」
ゆい「へえー!それはすごいね!」
はるか「そうなの!みなみさんの指導は本当に丁寧で、いつも手取り足取り教えてくれるから私も頑張らなくっちゃ!!」
_________________
みなみ「....早く土曜日にならないかしら」
おわり
参考
「読まずに死ねない哲学名著50冊」 平原卓著 フォレスト出版
「プリキュアと考える〇〇」はじめました!
みなさんこんにちは、赤城都市です!
普段は理系の大学生です。
お勉強の傍ら、プリキュアSS(ショートストリー)を書いてみました!
きっかけはとても単純。プリキュアのSSを読みつつ、何かが学べるのって面白そうだな~!と思ったのが最初です。ないなら作ればいいのです!!というわけで「プリキュアと考える〇〇」シリーズを書きました!
テーマは簡単な哲学から、知っていると少し役に立つことまで色々です。個人の趣味で、1つのSSに百合要素は必ず入れます。それに伴う若干(?)のキャラ崩壊があります。気を付けましょう。
書いたSSは完全に僕自身が読みたかった内容です!!
ないならば
作ってしまえ
工学部
一句詠んでしまうほどハッピーです!
作ったSSでみんなも楽しめればもっとハッピー!!
ウルトラハッピー!!
ひとまず記事を作成できたので、
試験勉強します・・・!!!
ぬおおおおおおお・・・・・・
ではまた